『‘訪問看護師になって本当に良かった’と思える数々のこと』

 

 「はい、北九州ヘルスケアサービス八幡訪問看護ステーションです」 受話器を取って、この第一声に「早口言葉みたいですね」「よく間違わずに言えますねー」と笑いを誘う会話から始まることが多い当ステーションの沿革についてご紹介致します。当ステーションは、社会医療法人北九州病院グループの一つである北九州八幡東病院の外来訪問看護から始まり、平成9年11月に老人保健法に基づく“北九州訪問看護ステーション”として誕生しました。北九州市内では最後発の訪問看護ステーションでしたので、精神科領域の訪問看護も積極的に受け入れ、地域医療機関から信頼される事業運営に努めてきたと聞いています。平成12年に介護保険法が施行されると同時に北九州病院本部に居宅部門が設けられ、当ステーションにも居宅介護支援事業と訪問介護事業を併設し、介護保険法に基づく訪問看護を展開しています。平成15年には北九州病院から独立して“北九州ヘルスケアサービス株式会社”が設立され、名称を“北九州ヘルスケアサービス八幡訪問看護ステーション”と改め、新たなスタートを切り今日に至っています。その間に当社の居宅事業はデイサービス・グループホーム・サービス付き高齢者住宅の事業も加わり、現在は北九州市八幡東西区に2拠点(八幡・黒崎)と同市小倉南北区に4拠点(湯川・曽根・中央・城野)の計6拠点で20事業所を構えるまでとなり、訪問看護ステーションも3拠点(湯川・黒崎・八幡)に拡充しています。
 当ステーションの所在地である北九州市八幡東区は、日本一早く高齢化率が高くなった地域であり、‘釣りバカ日誌’のロケ地としても採用された急坂の多い斜面に居住する高齢者が多い地域でもあります。私は平成13年4月に当ステーションに入職し、平成15年12月には管理者として訪問看護を任されました。訪問看護に携わって16年が経ちますが、入職当初から日々の訪問活動で痛感していることがあります。それは『自宅玄関の前に車が止められることはなんて幸せ!』ということです。というのは、訪問先が100段もの階段や急な坂道を上りつめた所にあるといったケースが多いからです。
 さて、当ステーションの現況についてですが、看護師16名〈常勤7名(うち1名は育休中)・登録9名〉+事務2名〈常勤1名・パート1名〉の人員体制で、113名のご利用者様に訪問させて頂いております。ご利用者の年齢は18歳から上は99歳の方々です。保険別では、平成29年2月末時点で、介護保険の方:60名、医療保険の方:53名(うち精神疾患の方:39名、特定疾患の方:4名、公害の方:2名、ターミナルの方:2名、一般の方:6名)となっています。開設当初から精神疾患の方が多いという点が一番の特徴でしょうか。この特徴を強化しながら、今後は超高齢・多死社会を見据えて“高齢者の看取りケア”に注力していかなければと考えています。
 今迄、在宅で“お看取り”をさせて頂いた中で、いつも不思議に思うことをご紹介します。それは、ご本人様には確認出来ないことですが、逝かれた日時は『ご本人様が望まれ、選ばれた‘その日・その時間’であること』です。経過を振り返り、ご家族と話す中で‘だからこの日の、この時間だったのだ’ということがわかり、そのことに運命や奇跡を感じます。また、全ての方ではありませんが、ご家族の覚悟が出来てから・ご家族の希望する日に逝かれた方もいらっしゃいました。私自身は霊的なものは何も持っていませんが、『‘自宅’には不思議な力がある』と感じることが多いことも事実です。そして、何よりも“看取りと向き合う時の自分自身”が病棟勤務時代とは180度違ってきていることに気付き、驚くと同時に「訪問看護師を続けてきてよかった!」と強く思っています。何が変わったかと言いますと、看護学校を卒業して、6年半ほど総合病院で勤務していた時は、亡くなりそうな方がいらっしゃれば「次の勤務帯まで持って欲しい」と願っていた自分がおりました。今考えると‘その方が亡くなると、私の仕事が増えるから’との思いが先に立っていたのだと思います。(大変申し訳ないです)。しかし、今は「逝かれた時には私も立ち会いたい」と思っています。訪問看護の看取りも‘仕事’ではあるのですが、‘仕事が増える’とは全く思いませんし、思ったこともありません。「かけがえのない体験をさせて頂いている」と常に感じます。
 これから多死社会を迎える中で、‘自宅で逝ける’お手伝いが出来る貴重な仕事が“在宅ターミナルケア”だと思います。今後もターミナルケアのスキルアップに努め、小児から高齢者までを受け入れられる体制(高度医療等に対応できる職員の育成、人員体制等)作りに力を注ぎ、新卒看護師からも「この訪問看護ステーションで働きたい!」と言われるようなステーションになることを願っています。訪問看護では、ご利用者お1人おひとりの‘病名・病状・生活歴・家族関係・家・環境’等の全てが異なり、『一つとして同じ看護』はありません。 ‘その方に合った’内服管理法や家にある物品でケア用品を代用する等の創意工夫が必要です。だからこそ、毎回が新鮮だし、やりがいもあるのだと思います。関わりも数年単位(当事業所で最長の方は『14年半』です)と長いことも多いため、‘共に生きている感’を感じます。この感覚を大切に、当ステーションの職員と共に今後もこの道を歩んでいきたいと思っています。補足ですが、当ステーションに就職して10年以上経っているスタッフが17名中、7名いることも自慢です。
 次に、忘れてならないのが、『八幡東西区訪問看護ステーション連絡会』の発足です。八幡医師会医療・福祉センターの管理者達が指揮を取り、1ヶ所1ヶ所の訪問看護ステーションを回って説明し、平成23年12月に第1回目の連絡会が開かれました。当初は、14ヶ所の訪問看護ステーションと4ヶ所の総合病院(連携室)の参加でしたが、今年2月の連絡会(26回目)では、訪問看護ステーションは26ヶ所に、総合病院(連携室)は5ヶ所に増え、平成27年からモデル事業として始まった『八幡在宅医療・介護連携支援センター』も新たに加わりました。連絡会は2ヶ月に1回開かれていますが(別に研修会等も、6回/5年間で開催)、メーリングリストで情報を頂き、相談・助言をお願いすることもあります。その他、八幡地区では個人病院の医師が立ち上げた会や薬剤師会が中心となった会など、多職種・多機関が参加して共に考え協働する会が多くなりました。顔の見える関係やネットワーク作りはこれからも必須です。出来るだけ参加させて頂き、ネットワークの一員となって地域に貢献できるよう、これからも‘信頼される関係性’を大切に関わって行きたいと思います。
 最後に、ご利用者様を通じて他職種の方々と数えきれないほど沢山の‘出会い’に恵まれました。“人生の宝”を頂いたと感謝しています。これらのネットワークが地域包括ケアシステムの一環となり、ご利用者様の生活を支えるサービスの土台になっていくのだと思います。これからも、どうぞよろしくお願い致します。

 〒805-0019

 福岡県北九州市八幡東区中央2丁目22-16

 北九州ヘルスケアサービス
 八幡訪問看護ステーション

 管理者:和田 千代子

 

【過去のつぶやき】

【平成28年度】
■平成29年3月 粕屋医師会 箱田病院 箱田 博之
■平成29年2月 アムナス博多訪問看護ステーション 管理者 野田 洋子
■平成29年1月 訪問看護ステーションはな 管理者 進藤 光代
■平成28年12月 株式会社耀・悠祐 訪問看護ステーションき・ら・ら 管理者 猿渡 祐子
■平成28年11月 医療法人 原三信病院 訪問看護ステーションおおはま 管理者 那須 百合美
■平成28年9月 直方鞍手医師会 (医)山近内科医院 山近 仁
■平成28年8月 社会保険稲築病院訪問看護ステーション 大里 幸子
■平成28年7月 飯塚医師会訪問看護ステーション 樋渡 弘子
■平成28年6月 嘉麻赤十字訪問看護ステーション 森山 英美
■平成28年5月 大川三潴医師会 訪問看護担当理事 宮崎憲一郎
■平成28年4月 訪問看護ステーションみやま 管理者 堀下 友行

【平成27年度】
■平成28年3月 医療法人社団 高邦会 やながわ訪問看護ステーション 武末 光子
■平成28年2月 大川三潴医師会 大川三潴訪問看護ステーション 宮原 和華子
■平成28年1月 手島内科医院 院長 手島久文
■平成27年12月 一般社団法人Q-ACT Q-ACT北九州 チームリーダー 須田
■平成27年11月 (株)ハートウェイ アウル訪問看護ステーション 管理者 友成 千賀
■平成27年10月 あったか訪問看護ステーション 所長 入江里代
■平成27年9月 有限会社在宅ナースセンター はんずあい・訪問看護ステーションはんずあい
管理者 小野 美智子
■平成27年8月 宗像医師会 理事・こじまクリニック 院長 小島 武士
■平成27年7月 株式会社せいか 訪問看護ステーションむなかた 塩宮 里香
■平成27年6月 福岡プライマリケア訪問看護ステーション
福岡プライマリケア株式会社   管理者・代表   熊谷 紀子
■平成27年5月 博多みずほ訪問看護ステーション  管理者  津田 梓
■平成27年4月 訪問看護ステーションいちばん星 所長 山下 郁代

【平成25年度】
■平成25年4月 北九州市小倉医師会訪問看護ステーション管理者 加藤 ひとみ

【平成23年度】
■平成23年4月 在宅サポートながさきクリニック 院長 長崎 修二

 

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