■平成27年6月

福岡プライマリケア訪問看護ステーション
福岡プライマリケア株式会社
管理者・代表   熊谷 紀子

@ ステーションのPR
 高校生の時からフロイトの精神世界に興味を持ち、そこからずっと精神科オンリーで看護の道に入り、H18年に自分で精神科専門のステーションを立ち上げるということまでしてしまいました。精神科訪問看護をはじめて20年になりますが、人の心の奥深さに惹きこまれています。精神科の経験がなく入社したスタッフも3年以上が経過し、ようやく提供強化加算がつくようになりました。利用者も増加傾向でスタッフを募集していますが、なかなか応募がない状況が続いているのが正直な気持ちです。精神科専門でやっているという特色がそういう所でマイナスになっているのかもしれません。
 スタッフは看護師6名、事務職2名、秘書1名で医療職以外が1/3を占めています。私は、管理者と経営者なおかつ訪問回数が一番多く24時間の携帯ももつという状況です。精神科専門ですが、内科系の方、看取りの方なども関わっています。ステーションだけの経営ですが、訪問看護指示書は70人位の先生方から出していただいています。
 精神科訪問看護はどういうことをするのかとよく聞かれます。看護の内容は、よく話しを聞くことです。そこから、不安の時の対応方法や人との距離の取りかた、うまくいかない家族への対応方法など、服薬方法も含めて本人自身が習得できるようにしていきます。指示的なことは殆どいいません。本人の思いに添って一緒にできることを考えていきます。時には生活指導、気分転換に外出、服薬中断している人には一緒に受診する、作業所とつなぐ、関係機関との連携、電話相談、SSTなど色々な動きをします。

A 印象事例・困っていることなど
 最近は利用者さんの家族の高齢化や、家族内にも同じような疾患や障害を抱えている事例がみつかり、本人のみだけでなく、家族にも支援が必要なケースが増えてきています。統合失調症の娘さんや息子さんが、介護が必要な親を抱え、眠くなるからと薬を飲まなくなり病状が悪化したりするケースなどもあります。主治医と相談して薬の調整をしてもらうなど、どこまで在宅で療養できるかギリギリのこともあります。またヘルパーさんやケアマネ―ジャーさんの中には、精神科の利用者さんへの対応困難さを抱えている方も多くいるように感じます。
 妄想や幻聴がある患者さんは、服薬が継続していても人との関わりなどが刺激になり、妄想に繋がりやすく病状が不安定になることがあります。関係づくりに1年費やすこともあり、向き合うのにかなり慎重さが必要です。また時代と共に病気や家族の在り方の変化、貧困の問題もからみ、脆さ、生きづらさが病気に繋がっていっているように感じます。病気、薬の事、世情など日々勉強は欠かせませんし、利用者さんに教えられることが多々あります。
 現在困っていることは、精神障害者にもケアプランを立てないといけないとうことになったことです。障害支援相談員が精神科経験のない事業所所が多かったり、利用者さんとの間に入り混乱させることも多々あったり、病状悪化、入院したケースもあります。当ステーションでプランをたてるのが一番でしょうが、そこまで仕事がまわらないのが現状です。

B 今話題となっていること
 年度変わりで人の異動、介護保険の改正、主治医変更、訪問看護指示書の提出変更や利用者、事業者への説明、変更、公的機関とのやりとりなど事務作業が膨大で抜かりがないかということ。

C 地域の特色・行事
 地域としては、福岡市近郊のベッドタウンというところでしょうか。おおまかにいえば福岡市と久留米市の間に位置します。筑紫野市、太宰府市、大野城市、春日市、那珂川町という筑紫地区4市1町の管轄内にあり筑紫保健環境事務所、福岡県精神保健センター、クローバープラザなど県の施設もあります。病院は太宰府病院、福大筑紫病院、二日市済生会病院、徳洲会病院など。観光としては、太宰府天満宮や国立博物館、二日市温泉などがよく案内されています。
 西鉄電車では春日〜筑紫駅、JRでは南福岡駅〜原田駅、博多南駅(新幹線)周辺でしょうか。地域によっては高齢化が進んでいるところも多いですが、人口が増えている傾向にあるそうです。
 当ステーションは春日市、大野城市の関係機関会議などに参加。また保健所管轄で昨年訪問看護ステーション連絡会がようやく立ち上がりました。また筑紫医師会では、包括支援システム構築にむけて訪問看護ステーションの一員としても地域に向けて啓蒙活動中です。
 また昨年4月に地域の皆さんにオープンスペースとして「みんなの保健室」というのを作りました。赤ちゃんからお年寄りまで年齢にかかわらず、気軽に相談できる、休憩できる、活動できる場所として利用していただけたらと思っています。まだ実績は少ないですが、土曜日10時〜15時にオープンしています。訪問看護ステーションのボランティアとしてやっています。

 
 

【過去のつぶやき】

【平成27年度】
■平成27年5月 博多みずほ訪問看護ステーション  管理者  津田 梓
■平成27年4月 訪問看護ステーションいちばん星 所長 山下 郁代

【平成25年度】
■平成25年4月 北九州市小倉医師会訪問看護ステーション管理者 加藤 ひとみ

【平成23年度】
■平成23年4月 在宅サポートながさきクリニック 院長 長崎 修二

 

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