宗像医師会訪問看護ステーション保健文化賞受賞

 人生の最期を自宅で迎える在宅ターミナルケアに長年取り組んでいる「宗像医師会訪問看護ステーション」が第63回保健文化賞(第一生命保険主催、厚生労働省、朝日新聞社など後援)を受賞した。患者・家族の支援ヘ、介護にかかわる他職種との地域連携を県内各地で進めている活動が、在宅医療の推進に貢献していると評価された。

自宅で看取り支える

 同訪問看護ステーションは1994年に設立され、訪問看護師17人、理学療法士、事務職員ら計20人。ケアマネジャー5人を加えた在宅支援室の合計25人で活動している。
 訪問看護ステーションは通常、介護保険や医療保険で看護師が家庭を訪問し、医師の指示のもとに療養上の世話や処置をしている。
 活動の特徴は、末期状態のがん患者らが自宅で療養する在宅ターミナルなどの訪問看護だ。家庭で最期を迎える「看取り(みと )」ができるよう、患者の苦痛を和らげる「緩和ケア」や最期の兆候などの知識を家族に伝え、不安を軽くしている。
 

情報共有へ縦割り改善

 さらに、宗像地区だけでなく、県内他地区の訪問看護ステーションの支援もしており、関係職種からの電話相談も受けている。患者や家族の意向などの情報は、医師や看護師などの職種で異なる。情報共有に向けて、縦割りになりがちな関係の改善を提案し、医師、薬剤師、介護福祉士、行政(県や市)など他職種の研修会での講演も引き受けている。
 県宗像・遠賀保健福祉環境事務所によると、県内の訪問看護ステーションは約270カ所。8割近くが5人未満で、10人以上のところは10カ所程度という。
 最近では、看取りに消極的だった家庭が、介護指導と情報提供によって、次第に介護力をつけ、看取りを受け入れた事例の研究報告をまとめた。
 保健文化賞は保健衛生の向上と研究に貢献した団体と個人に贈られる。今年度は応募59件から10団体と5人が受賞した。福岡の団体では2年ぶり14件目。贈呈式は25、26の両日、東京で。在宅支援室長の阿部久美子さん(54)は「公衆衛生で歴史のある賞をいただき、励みになります。地域の方々のために、今後も介護にかかわる人たちの橋渡しを続けたい」と話している。 (八板俊輔)

平成23年10月24日月曜日 朝日新聞より


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